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​北海道大学総合博物館 ウッドデッキプロジェクト

​Wood Deck Project of the Hokkaido University Museum

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About Wood Deck

​■自然と歴史を感じる「憩いの場」

 総合博物館が使用する旧理学部本館は1929年に建設された、北大の歴史的資産の1つである。同館には大学内外から多くの人々が訪れるが、その重厚なファサードに対して近寄りがたさを感じる利用者も少なくないという話を聞いた。「北海道大学総合博物館ウッドデッキ」の設計にあたっては、人々が親しみを持てるような空間を演出することを意識した。

 トドマツの清潔で明るい色合いを活かした床材は、重厚な博物館のファサードやアンティークブラウンに塗装した土台との対比によって、ウッドデッキ全体に浮遊感を与え、人々が近寄りやすい雰囲気をつくりだす。ウッドデッキ周辺には豊かな緑が拡がり、昇降機前面に伸びるベンチは博物館の来館者のみならず、北大の学生や教職員の憩いの場となる。また、昇降機を介して博物館内のカフェと繋がり、天気の良い日にはカフェのテラス席となる。このように、博物館内外の人の流れを受け止めるウッドデッキは、キャンパスの自然と歴史を感じる憩いの場となる。

(小川 史洋 / 建築史意匠学研究室 修士2年)

所在地  :北海道札幌市北区北10条西8丁目

主要用途 :ウッドデッキ(段差解消+ベンチ)

意匠設計 :工学研究院 建築史意匠学研究室 学生チーム​

施工   :丸豊建設株式会社(札幌市)+ 学生有志11名

木材監修 :農学研究院 木材工学研究室

製材   :堀川林業株式会社(三笠市)

最高高さ :880mm

延床面積 :16.15m2

設計期間 :2016年4月~9月

施工期間 :2016年10月

使用木材 :床材・根太 トドマツ(北方生物圏フィールド科学センター中川研究林提供)

      土台・束 ツガ(防腐剤注入材)

仕上げ  :床材・根太 オスモカラーウッドステインプロテクター ヘムロックファー+ホワイト / オスモカラーノンスリップデッキ クリア(床材上塗り)

      土台・束 ノンロット205N アンティークブラウン

​■プロジェクトの背景・流れ

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1 北海道大学のキャンパスが持つ可能性
北海道大学札幌キャンパスは、札幌都心部に位置しながら豊かな自然や生態系を有しています。また、重要文化財や登録有形文化財を含んだ歴史的建造物や、埋蔵文化財など多くの歴史的資産も有しています。北海道大学には、重層的に存在する自然や歴史的資産を活用したキャンパス整備を行うポテンシャルがあるといえます。

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2 ウッドデッキの役割
北海道大学総合博物館が使用する建物は、理学部本館として1929年に竣工した歴史的建造物です。総合博物館は2015〜16年にかけて実施された耐震改修工事に際し、正面玄関北側に車椅子専用昇降機を設置しました。昇降機に付設するウッドデッキは、地上と昇降機の段差解消や、同館の「第2の玄関」として賑わいのある居場所を創出する役割を担っています。

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3 総合博物館を中心にプロジェクトチームを結成
本プロジェクトは、総合博物館が中心となって工学・農学を専門とする研究者や技術職員、学生、北大卒業生がプロジェクトチームを結成し、協働して進められました。ウッドデッキの床材は北方生物圏フィールド科学センター中川研究林(中川町、音威子村)の間伐材のトドマツを使用し、製材は北大卒業生の製材所である堀川林業株式会社(三笠市)が担当しました。設計は工学研究院建築史意匠学研究室の学生が担当し、農学研究院木材工学研究室による木材の屋外利用についての助言を受けながら進めました。また、実施案はコンペ形式で選定しました。施工には施工業者の指導の下、学生有志11名が参加しました。

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4 ウッドデッキが創出した場
ウッドデッキは2016年11月1日に完成しました。総合博物館のファサードのもつ重厚な佇まいに対し、床材に用いたトドマツの明るい色合いが親しみやすさを演出しています。ウッドデッキは昇降機を介して、同館リニューアルに伴い新設されたカフェに隣接しています。館内に人を呼び寄せる「第2の玄関」として、来館者やキャンパス内の人々の憩いの場をつくっています。

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5 今後の展開

プロジェクトチームでは今後、このウッドデッキを足がかりとして、キャンパス全体に木材を用いた憩いの場づくりを進めていきたいと考えています。ウッドデッキの製作過程で得た経験や人の繋がりを活かして、北海道における木材を利用した魅力的な屋外空間の展開を目指します。その足がかりとして「北海道大学総合博物館ウッドデッキプロジェクト」は、規模は小さいながらも非常に大きな意味を持つものと考えています。

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